3月に参加した2つのセミナーについて報告させて頂きます。

 

1つ目は山口大学で定期開催されている総合臨床セミナーです。

今回は酪農学園大学の前原先生の「緑内障の診断と治療」と、山口大学の伊藤先生の「一般診療施設で可能な眼科検査」の2つのセミナーが行われました。

 

緑内障とは眼の圧が上昇することで網膜が障害されて、視覚障害を起こす疾患です。

動物でも緑内障は多く、100頭に1頭前後が緑内障に罹患しているとも言われています。

犬猫における緑内障の問題点は、初期の発見が困難であり、緊急治療を行わないとそのまま失明に至る可能性が高いことです。

緑内障による動物の失明や苦痛を避けるための、診断と治療のポイントを非常に分かりやすく解説して頂きました。

また、眼科検査のお話では「角結膜細胞診」について主に講演がありました。

セミナー直後に、講演に取り上げられた疾患所見にたまたま遭遇し、一発であの病気だ!と診断することが出来ました。

 

 

2つ目は広島県廿日市市のマリン動物病院で定期的に行われている、アジア獣医皮膚科専門医の伊從先生による皮膚科専門診療の見学です。

 

動物の皮膚科には診断がついて適切な治療を行えば完治する感染症のような病気と、アレルギーや免疫異常が関与し生涯の治療管理が必要になる疾患があります。

今回の見学では、生涯の治療管理が必要なアレルギー性疾患の再診症例を多数診ることが出来ました。

アレルギー疾患の慢性期管理は、個体ごとの特徴と必要とする管理が異なり、教科書だけでは勉強しきれない領域です。

皮膚科専門医の症例に合わせたオーダーメイドの治療管理の考え方を身近で学ぶことが出来ました。

 

 

3つ目は福岡で開催された九州画像診断研究会の3月例会です。

日本でも数少ない米国獣医腫瘍学専門医である北海道大学の細谷謙次先生による、

「抗がん剤治療の各論:リンパ腫治療 ~スタンダードな治療から一歩先の治療まで~」という講演でした。

 

リンパ腫は一般の動物病院でも診断・治療することが非常に多く、過去にもリンパ腫を取り扱ったセミナーの参加報告をさせて頂いています。

今回のセミナーでも一般的なお話から、教科書的にはいかない場合の対応法、従来の方法からさらに治療成績を上げるために一般動物病院でも可能な取り組み、北海道大学での治療実績など、とても有意義な講義を聴くことができました。

現在当院でもリンパ腫の治療を行っている症例があるので、さっそくセミナーで勉強したことを意識して治療に取り組んでいます。

 

 

最後におまけの写真を載せます。

自宅でweb配信セミナーを見ていたときの一コマです。

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